スポーツは健康的な生活を促進し、体力を養うために効果的な方法ですが、時には運動中の怪我や障害のリスクも伴います。
今回はスポーツ障害の概要をはじめ、その予防と適切な対処法について探っていきましょう。
スポーツ障害の定義
スポーツ障害は、スポーツ活動や運動中に発生する身体的な問題や損傷のことを指し、これは競技レベルやスポーツの種類に関わらず、誰にでも起こりうるものです。
急なアクシデントや、長期間にわたる過負荷によって引き起こされることもあります。
代表的なスポーツ障害として、以下の例が挙げられます。
骨や筋肉、腱などの損傷が含まれ、安静な状態や適切な治療が必要
強い衝撃を伴うスポーツでよく見られ、骨の完全な断裂が含まれる
運動の繰り返しにより筋肉や腱に炎症が起こることがある
これらの障害が起こる主な原因は、適切なウォーミングアップやストレッチを怠ったり、適切なフォームや技術を欠いて運動したりすることです。
筋肉や関節に過度の負荷がかかり、障害が引き起こされる場合があるだけでなく、怪我のリスクも高まります。
また、チームスポーツにおいては、他の選手との衝突や接触によって怪我が発生することがあるので注意しましょう。
スポーツ障害の予防法
スポーツを始める前には、十分なウォーミングアップとストレッチを行い、筋肉や関節の柔軟性を高めることで、怪我のリスク減少にも繋がります。
それに加えてヘルメットやプロテクター、競技に合った靴など、可能な限りスポーツに応じた適切な装備を使用してください。
また、適切なトレーニングとフォームの向上を通じて、筋力やバランスを向上させ、技術不足による障害を軽減することも可能です。
RICE処置(対処法)について
「RICE処置」は、スポーツ障害や怪我の初期対処方法として広く知られている手法で、RICEは「Rest(休息)」「Ice(氷)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」の頭文字を表しています。
怪我の炎症や腫れを軽減し、回復を促進するためのガイドラインです。
以下に、RICE処置の各ステップについて詳しく説明します。
休息(Rest)
怪我の部位に負担をかけずなるべく休息をとり、活動を控えることで悪化を防ぎます。
休息中には、その部位に過度のストレスや負荷をかけないように注意しましょう。
氷(Ice)
氷を使って怪我の部位を冷やすことで、炎症と腫れを抑えることが可能です。
氷は直接肌に触れないようにタオルや布を巻いて20分程度冷やし、その後少し休憩を取ります。
氷を直接当て続けることは凍傷のリスクを増加させるので避けましょう。
圧迫(Compression)
弾性バンデージや圧迫包帯を使用して、怪我の部位に適切な圧迫をかけることで、血流の過剰な流れを抑え、腫れを軽減します。
過度な圧迫は血行を阻害するため、適切な圧力を保つようにしましょう。
挙上(Elevation)
怪我の部位を心臓よりも高い位置に挙げることで、余分な血液や液体が部位にたまるのを防ぎ、 腫れを減少させます。
できるだけ部位を高く挙げ、横になることができない場合でも、クッションを使って高い位置に保ちます。
5番目として、安定・固定(Stabilization)「安定させ、固定する」を加えて、「RICES処置」と言う場合もあり、この順序で緊急処置を行います。
※RICE処置は、初期のケアにおいて効果的な手法ですが、全ての状況に適用できる訳ではありません。
重度な怪我や痛みが持続する場合は、必ず専門家の診断を受けることが重要です。
当店の見立てと改善法
まずはスポーツ歴の確認が重要となるため、以下の項目についてヒアリングします。
- 発症時期(成長期か成人後か)
- スポーツの種目
- 始めてからの期間
- 競技レベル
- ポジション
- 練習時間や練習内容など
また、お客様が持っておられる機能的な問題を把握し、それを解決することが重要となります。
スポーツ種目別の外傷・障害
スポーツはその種目によって特定な動きを繰り返すため、典型的な外傷・障害の特徴が認められます。
ここでは「病院に行ったら○○と言われました。」というような、代表的な診断名(整形外科や医師によるもの)を中心に挙げていきます。
野球
キャッチングやスライディングといった動きが多いため、手指部および足関節の捻挫や骨折が多く見られるのが特徴です。
野球特有の障害として、「野球肘(内側型・外側型・後側型)」「野球肩(上腕骨近位骨端線離開・インピンジメント症候群・SLAP 損傷など)」があります。
サッカー
コンタクトスポーツ(相手と接触するスポーツ)であるため、下肢(足)はもちろん、腕にも外傷が多く見られるのが特徴です。
「膝関節靭帯損傷」「半月(板)損傷」「足関節捻挫」「肉離れ」「中手骨骨折」などの外傷があります。
テニス
上肢(腕)の使い過ぎによる障害が多く、「テニス肘(上腕骨外側上顆炎、上腕骨内側上顆炎)」を生じやすいです。
その他に「肩峰下インピジメント症候群」「肉離れ」などの障害や、「足関節内反捻挫」などの外傷があります。
陸上競技
短距離ランナーは、太もも裏(ハムストリングス)の「肉離れ」、 中・長距離ランナーは、「疲労骨折」「シンスプリント」「アキレス腱炎」「足底筋膜炎」といった障害が多いです。
また、ジョギングで起こるランニング障害として、「腸脛靭帯炎(ランナー膝)」「鵞足炎」「疲労骨折」「シンスプリント」などが見られます。
ジャンプ種目では、「ジャンパー膝」と呼ばれる障害もあります。
バスケットボール
下肢(足)への負担が大きく、最も多く見られるのが「足関節捻挫」で、特に女子では非接触型の「膝前十字靭帯損傷」が多く見られます。
バレーボール
ジャンプ動作を頻繁に行うスポーツであるため、「足関節捻挫」や「腰痛」が多く、膝関節のスポーツ障害では「ジャンパー膝」が見られます。
スキー
転倒時の「膝前十時靭帯損傷」「膝内側側副靭帯損傷」「膝内側半月(板)損傷」といった外傷が多いです。
また、転倒時にストックを握った手を雪面に突き、親指の内側の尺側側副靭帯を損傷するケースもあります。
施術とリハビリについて
先に紹介した「RICE処置」などで、怪我の炎症や腫れを十分に軽減してから行うのが望ましいです。
炎症がひどくならない範囲でストレッチ、筋膜リリースなどで筋・筋膜などをゆるめ、 関節の可動域を正常化する
痛み・むくみ・こわばりといった症状の改善が第一の目的です。
これらの症状はお客様にとって苦痛なだけでなく、二次的に関節の可動域や筋力などの悪化に繋がりかねません。
「痛いから関節を動かさない → 動かさないから関節がかたくなる → ますます痛くなる」という悪循環が生じるため、当店では痛みをやわらげながら、積極的に関節を正しい位置で動かせるようにします。
過度にならないように気をつけながら体を動かし、栄養を摂る
局所や全身の血液・リンパによる循環を維持したり、改善したりすることは、組織の恒常的な維持をはじめ、損傷された組織の再生と修復、症状の改善に必要不可欠です。
人体の組織は、損傷を受けても自然にもとの状態に戻る再生力があります。
この再生力を促進するには、循環の改善により損傷した細胞への酸素や栄養物質の補給、老廃物や代謝物の除去などによって「細胞を若返らせる」ことが必要なのです。
よって、運動(体を動かすこと)による筋肉のポンプ作用が循環改善に役立ちます。
再発防止と二次的障害の予防のために、筋肉の機能や能力を向上させる
スポーツ障害の予防と対処は、健康的なスポーツ活動を続けるために欠かせません。
適切な予防策と怪我の際の対処方法を知り、安全な運動習慣を築きましょう。
もし怪我をした場合は、自己判断ではなく専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。